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2026年、最も安全なメッセージアプリ

2026年11月6日更新9分で読めます

どのメッセージアプリも「安全」をうたっています。本当に安全なアプリもあれば、設定を変えて初めて安全になるアプリもあり、「安全」という言葉で、思っているのとはまったく違うことを指しているアプリもあります。

そこで、なんとなくの印象で選んだトップ10ではなく、実際によく質問される7つのアプリを正直に見ていきます。Signal、WhatsApp、Telegram、Threema、Session、SimpleX Chat、そしてMorseです。まず「安全」とは本来どういう意味であるべきかを整理し、それから各アプリを、弱点も含めて紹介します。なお、Morseは私たちのアプリです。だからこそ、ほかのアプリにできて私たちにできないことも、はっきりお伝えします。

メッセージアプリを本当に安全にするもの

宣伝文句は忘れてください。本当に大事なのは、次の5つです。

  • 標準でのエンドツーエンド暗号化。グループも含めて、すべてのチャットが対象であること。自分でオンにしなければならないなら、ほとんどのチャットは暗号化されないままになります。
  • 前方秘匿性。メッセージごとに別の鍵が使われるので、今日盗まれた鍵で昨日のメッセージを開けることはできません。
  • 将来の量子コンピューターへの備え。今日記録された暗号化メッセージは、アプリが耐量子暗号を使っていなければ、何年も先に解読されるおそれがあります。
  • アプリがあなたについてどれだけ知る必要があるか。電話番号は、あなたのアカウントを、携帯電話会社に登録された本名や、ほかの人のアドレス帳に結びつけます。
  • 専門家が検証できるかどうか。オープンソースのコードや、公開された詳しいセキュリティ設計を通じて確かめられることです。

5つすべてで満点のアプリはありません。それぞれの実力を見ていきましょう。

耐量子保護がいま重要な理由

今日の暗号を破れる量子コンピューターは、まだ存在しません。では、なぜいま気にする必要があるのでしょうか。暗号化されたメッセージは、今日のうちに記録して保存しておけるからです。誰かがいまあなたの暗号化された通信を保存しておき、10年後や15年後に十分強力な量子コンピューターを使えるようになったら、今日の従来型の暗号だけで守られたメッセージは開けられてしまうかもしれません。

耐量子鍵交換は、量子コンピューターでも破れないと考えられている保護を、もう一層加えます。Signal、SimpleX Chat、Morseはすでにこれを使っています。Threemaが公開しているホワイトペーパーにはこの仕組みの記載がなく、Sessionは次のプロトコルで導入する予定です。

今記録して、あとで解読

今日

あなたのメッセージ
誰かが暗号化されたデータを記録

何年も後

量子コンピューター
耐量子保護なし開けられる
耐量子鍵交換あり鍵がかかったまま
今日あなたの暗号化されたメッセージを保存した人は、量子コンピューターが十分強力になったときに解読を試みるかもしれません。耐量子鍵交換は、そうした記録に鍵がかかったままになるよう作られています。

アプリを使っていて気づくことは一度もないはずですが、まさにそれが狙いです。

電話番号の問題が重要な理由

電話番号は、単なるログイン手段ではありません。携帯電話会社ではあなたの名前に結びついていて、これまでメッセージを送ったすべての人のアドレス帳に入っていて、SIMスワップで乗っ取られることもあります。メッセージアプリが電話番号を中心に作られていると、そのすべてがついて回ります。

電話番号を使わないアプリでは、代わりにIDが発行されます。そのため、チャットとあなたの本当の身元を結びつけるのがずっと難しくなり、だまされて教えてしまうようなSMSの認証コードもありません。

各アプリが登録時に求めるもの

  • Signal電話番号
  • WhatsApp電話番号
  • Telegram電話番号
  • Threemaなし(ランダムなIDを発行)
  • Sessionなし(Account IDを発行)
  • SimpleX Chatなし(IDそのものがない)
  • Morseなし(Morse IDを発行)
通常のアプリでは、Signal、WhatsApp、Telegramは電話番号から始まります。SignalはAndroidのベータ版で、番号なしの有料登録をテストしています。

SignalとWhatsAppは現在ユーザー名を提供していて、番号を人に知られずに済むようになっています。ただ、通常のアプリでは、アカウント自体はやはり電話番号から始まります。

Signal:最高水準、ただし電話番号が必要

Signalは、多くのセキュリティ専門家が勧めるアプリで、それには十分な理由があります。すべてのチャットと通話が標準でエンドツーエンド暗号化され、Signal Protocol(Signalが開発し、WhatsAppやMorseも使っているもの)で動いていて、耐量子保護も加わりました。無料で、非営利団体が運営し、オープンソースです。

弱点は登録です。通常のSignalアプリでは、今も電話番号が必要です。2024年からはユーザー名を設定できるので、番号を誰にでも教える必要はなくなりました。また、あなたの番号をまだ知らない人には、標準で番号が表示されません。2026年9月には、Androidのベータ版で、番号なしで登録できる仕組みのテストを始めました。約3ドルの一回限りの料金がかかり、ログイン情報をなくすとアカウントを復元する方法はありません。今のところ、ほとんどの人にとって、Signalはやはり電話番号から始まります。

おすすめ:実績のある暗号化を求めていて、Signalに電話番号を渡してもかまわない人。

WhatsApp:標準で暗号化、ただし周辺にすき間あり

WhatsAppもSignal Protocolを使っているので、個人チャット、グループチャット、通話は標準でエンドツーエンド暗号化されます。これほど大規模なアプリとしては、大きなことです。

すき間があるのは周辺部分です。iCloudやGoogle Driveへのチャットのバックアップは、自分でオンにした場合しかエンドツーエンド暗号化されません。Metaのホスティングを使う企業とのチャットは、WhatsApp自身が言うとおり、エンドツーエンド暗号化されていません。また、登録には電話番号が必要です。ユーザー名は近く使えるようになりますが、番号の代わりにはなりません。

おすすめ:すでにWhatsAppを使っている人たちと連絡を取りたい人。詳しくはWhatsAppは安全?で解説しています。

Telegram:標準ではエンドツーエンド暗号化されない

Telegramは非常に人気があり、通話はエンドツーエンド暗号化されています。でも、通常のチャット、グループ、チャンネルはそうではありません。エンドツーエンド暗号化されるのは任意のシークレットチャットだけで、それも1対1のみ、しかも始めた端末でしか使えません。さらに、電話番号も必要です。

おすすめ:プライベートな会話ではなく、大きな公開チャンネルやコミュニティ向け。詳しくはTelegramはエンドツーエンド暗号化されている?をご覧ください。

Threema:電話番号なし、買い切り

Threemaは、電話番号やメールアドレスを求める代わりに、ランダムなThreema IDを発行します。どちらかを紐づけるのは任意です。メッセージは、前方秘匿性を備えたThreema独自のプロトコルでエンドツーエンド暗号化され、アプリはオープンソースです。アプリは一度買えばよく、会社とサーバーはスイスにあります。

知っておきたい点が2つあります。Threemaには消えるメッセージがなく、公開されている暗号技術のホワイトペーパーには耐量子鍵交換の記載がありません。その一方で、Morseにはないグループ通話とデスクトップアプリがあります。

おすすめ:電話番号なしで使える買い切りのアプリで、グループ通話とデスクトップアプリも欲しい人。

Session:電話番号なし、ただし前方秘匿性はまだない

Sessionは電話番号もメールアドレスも求めず、Account IDが発行されます。メッセージはオニオンルーティングを使った分散型ネットワークを通るので、メッセージを送る相手にあなたのIPアドレスは見えません。無料でオープンソースで、消えるメッセージとデスクトップアプリもあります。

弱点は、Session自身が、現在のプロトコルには完全前方秘匿性がないと述べていることです。前方秘匿性と耐量子保護は、まだ開発中のSession Protocol V2で予定されています。通話はベータ版で、通話相手にあなたのIPアドレスが共有されます。

おすすめ:ネットワーク上のアドレスを隠すことを最優先にしていて、今のところはこうしたトレードオフを受け入れられる人。

SimpleX Chat:ユーザーIDがまったくない

身元の扱いで最も徹底しているのがSimpleX Chatです。ユーザーIDというものがありません。招待リンク、QRコード、または任意のアドレスを共有してつながります。メッセージと音声通話、ビデオ通話はエンドツーエンド暗号化され、ダイレクトチャットには耐量子暗号が使われ、消えるメッセージもあります。オープンソースで、iPhone、Android、デスクトップ向けのアプリがあります。

その代わりに犠牲になるのは手軽さです。IDがないので、毎回リンクやコードでつながる必要があり、短い名前を相手に伝えるより少し手間がかかります。

おすすめ:識別子をいっさい持ちたくない、プライバシーにこだわる人。

Morse:標準でエンドツーエンド暗号化、電話番号なし

MorseはSignal Protocolを使い、前方秘匿性と耐量子鍵交換(ML-KEM)を備えています。すべてのチャット、グループ、写真、ボイスメッセージ、1対1の通話が、標準でエンドツーエンド暗号化されます。オンにするものは何もありません。

登録に電話番号もメールアドレスも必要ありません。読み上げたり入力したりできる短いMorse IDが発行され、それを誰に教えるかはあなたが決められます。広告はありません。Morseは、使っている人たちの支払いで成り立っています。

(まだ)ないもの:Morseはオープンソースではありませんが、専門家が仕組みを確かめられるよう、詳しいセキュリティホワイトペーパー(英語)を公開しています。通話は1対1のみで、デスクトップアプリはありません。

おすすめ:電話番号を教えずに標準のエンドツーエンド暗号化を使いたい人、それも相手に気軽に教えられるアプリを求める人。

電話番号なしで使える、強力な暗号化をお探しですか?

Morseを試してみてください。電話番号もメールアドレスも不要で、1分で使い始められます。

7つのアプリを並べて比較

要点をまとめると、次のとおりです。チェックマークは、そのアプリが標準でそうなっていることを表します。

  • チャットとグループを標準でエンドツーエンド暗号化

    Signal
    はい
    WhatsApp
    はい
    Telegram
    シークレットチャットのみ
    Threema
    はい
    Session
    はい
    SimpleX
    はい
    Morse
    はい
  • 前方秘匿性

    Signal
    あり
    WhatsApp
    あり
    Telegram
    シークレットチャットのみ
    Threema
    あり
    Session
    まだなし
    SimpleX
    あり
    Morse
    あり
  • 電話番号もSIMカードも不要

    Signal
    番号が必要
    WhatsApp
    番号が必要
    Telegram
    番号が必要
    Threema
    番号は不要
    Session
    番号は不要
    SimpleX
    番号は不要
    Morse
    番号は不要
  • オープンソースのアプリ

    Signal
    はい
    WhatsApp
    いいえ
    Telegram
    はい
    Threema
    はい
    Session
    はい
    SimpleX
    はい
    Morse
    いいえ(ホワイトペーパーを公開)
各アプリの公式ページとドキュメントをもとに作成(2026年11月時点)。SignalはAndroidのベータ版で、番号なしの登録をテストしています。

比較の方法

使ったのは、各アプリが自分自身について述べている情報だけです。ヘルプページ、セキュリティ文書、発表を、2026年11月に確認しました。確認できなかったことは、推測で書かずに省いています。

アプリは変わっていくので、変化があればこの記事も更新します。たとえば、Sessionの次のプロトコルが出れば、表のSessionの行は変わるでしょう。また、オープンソースのコードやグループ通話のように、ほかのアプリにあってMorseにないものは、そのとおりに書いています。

どれを選べばいい?

何をいちばん重視するかによります。

  • 実績のあるセキュリティが欲しく、電話番号を教えてもかまわない:Signal。
  • 知り合いがみんなすでに使っている:WhatsApp(エンドツーエンド暗号化されたバックアップをオンにして)。
  • 電話番号なしで標準のエンドツーエンド暗号化を使いたい、しかも相手に気軽に教えられるアプリがいい:Morse。
  • グループ通話とデスクトップアプリがある、スイス発の買い切りアプリがいい:Threema。
  • 識別子をいっさい持ちたくなく、リンクでつながる手間も気にならない:SimpleX Chat。
  • プライベートな会話より、大きな公開コミュニティが目的:Telegram。

セキュリティはアプリだけでは決まらない

どれほど安全なアプリでも、誰かに抜け道を使われては守りきれません。次のような習慣も同じくらい大切です。

  • スマートフォンにロックをかけ、アプリに独自のロック機能があれば、それも使いましょう。
  • ログイン用や認証用のコードは、誰に頼まれても絶対に教えないでください。
  • バックアップの保存先と、それがエンドツーエンド暗号化されているかを確認しましょう。
  • アプリとスマートフォンは最新の状態に保ちましょう。
  • 知らない人からのリンクや添付ファイルには注意しましょう。

そして、暗号化が守るのは話した内容であって、誰と話したかまで守られるとは限りません。これはメタデータと呼ばれるもので、ぜひ読んでおく価値があります。

まとめ

最も安全なメッセージアプリとは、標準でエンドツーエンド暗号化され、あなたについてできるだけ知らず、しかも話したい相手が実際に使ってくれるアプリです。

Signalは暗号化の基準を作っていますが、電話番号が必要です。Threema、Session、SimpleX Chatは番号なしで使えますが、それぞれにトレードオフがあります。Morseは、耐量子鍵交換を加えたSignal Protocolを標準で使い、電話番号は不要で、数秒で共有できる短いIDがあります。

FAQ

よくある質問

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